ドンキホーテ閉店の裏に隠れた大原孝治氏の巧みな経営戦略

ドンキホーテは全国で激安をうたう店舗を多く出店していますが、現在も出店数の拡大は続いており、中期的な目標としては500店舗を掲げているといいます。この中期目標は東京オリンピックが開催される2020年が目途となっており、実際に出店のペースはこれに迫る勢いがあります。
そのような中にあって、2017年には古書街などで有名な神田神保町の店舗、ドンキホーテ神保町靖国通り店が閉店しています。新規のオープンからわずか8か月足らずという同店の撤退は、インターネット上でも話題となりました。

グループ全体では順調に出店を続ける一方での突然の閉店は、素人目にはなかなか理解しがたいものですが、グループの司令塔となっている株式会社ドンキホーテホールディングスの大原孝治代表取締役社長兼CEOは、この際の事情をあるインタビューで語っています。
それによれば、歩行者の身なりなどを見ても緊張感が漂う街で、オープンからほどなく失敗と考え、即座に退店の結論を出したといいます。出店戦略を迅速に実行に移すこともさることながら、閉店についても迅速な意思決定ができるのは、大原孝治氏をトップとする同社の強みといえます。さらに、グループ全体では小売部門のほかに不動産の賃貸や売買などの事業も手がけていることが、迅速な決断ができる背景にあります。建物が自社所有物件の場合には、不動産賃貸などの別の用途に回してしまえば、経営的には閉店があってもノーダメージとなるのです。